お客様の挑戦
ウィチタ州立大学付属の国立航空研究所 (NIAR) は、米国最大の大学航空研究開発機関です。長年にわたり航空分野で偉業を成し遂げている「世界の航空の首都」であるカンザス州ウィチタにある NIAR は、航空宇宙業界全体で躍進となる複雑な試験の実施に必要な最先端の施設、装置、専門性を航空宇宙関連メーカーに提供しています。
「クライアントがNIARを選ぶ多くの理由の一つは、必要なデータを入手するためにいくつもの施設を移動することなく、一箇所ですべての試験を実施できるからです。」 と、NIAR 試験ラボ・ディレクターのTim Hickey氏は言います。「より多くのクライアントがフルスケールの試験を必要とし始めた時、我々は変わることを決断しなければなりませんでした。我々は、こうした複雑な試験を実行するために必要な経験、装置、人員を有していることは分かっていましたが、さらに多くのスペースが必要でした。」
より大型の航空機に対応し、さらに多くのフルスケールでの構造物試験を同時に実施するために、NIARは大学のメインキャンパスからわずか11マイル離れたカンザス・コロシアムにあったかつてのブリットブラウンアリーナを手に入れました。NIARはこのア リーナの改築に15ヶ月を費やし、2013年春に航空機構造物試験および評価センター (ASTEC) をオープンさせました。
13万平方フィートの広さを誇る、ASTECはNIARの以前の実物大構造物試験ラボの2倍の広さがあり、世界でも最大規模の航空機構造物試験センターの一つになりました。Boeing 787クラスの大きな航空機でもフルスケールの試験ができる能力を備えま した。
「施設を計画すると、次のステップは信頼できる試験装置を見つけることでした。 」と、Hickey氏は言いました。
MTS のソリューション
完全な機体の耐久性や負荷試験からクーポンやコンポーネント試験まで、実際にあらゆる種類の宇宙航空試験を提供できる高性能な施設を実現するために、Hickey氏と彼のチームは広範囲に及ぶMTS試験ソリューションを選びました。これらは、航空機のコンポーネントや革新的な材料を試験するのに用いられるロードフレームタイプ試験装置から、幅広い種類の実物大構造物アプリケーションで使用されるMTS AeroPro™ ソフトウェア、MTS FlexTest® コントローラ、MTS FlexDAC™ データ収集システム、MTS SilentFlo™ 油圧供給装置までカバーします。
「我々は、その信頼性と精度に加えて、ソフトウェアやハードウェアの融通性から、MTS の装置を選びました。」と、Hickey氏は説明しています。「我々と MTS は長い付き合いになります。」
フルスケール構造物研究室、エンジニアリング航空機研究室、メカニカル試験研究室で構成されるASTECの施設では、NIARのクライアントはあらゆる種類の商用および軍用航空機の試験を依頼することができます。結果として、ASTECの試験チームは、広範な種類のクライアントのニーズに等しく対応する必要がありました。MTSの制御およびデータ収集システムが、この目的で大いに役立ち、試験オペレータは各セットアップで非常に簡単にデータチャンネルを追加し、全てのチャンネルをより効率的に活用することができるようになりました。
「過去には、48のデータ収集チャンネルを持つボックスをそれぞれの試験ステーションに割り当てなければなりませんでした。」 と、Hickey氏は言います。「MTSのFlexDAC システムにより、あらゆる種類の試験で、利用できるチャンネルを効率的に利用することができるようになったのです。どのボックスからでも、どの試験ステーションへも、チャンネルを割り当てることができます。クライアントが、試験の直前になってさらに2、3 の歪みゲージを追加すると決めても、対応 することができます。」
FlexDACシステムはデジタル制御とも強固に統合されているので、正確な同期が保証され、試験が完了した後に手動でデータを同期させる必要がありません。
「統合的な制御とデータ収集の流れが、試験後の処理を単純化するのに役立ちます。データ処理の速度と容易さを強化してくれます。」と、Hickey氏は述べています。
お客様のメリット
ASTECはNIARに、航空機メーカーがフルスケール構造物試験で新たな商機を実現するのを支援できる余地を与えました。特 に、NIARのクライアントに、単一の高性能 施設で事実上あらゆる試験プログラムを 実施することで、時間と費用の両方での節 約できる可能性を与えたのです。
「我々には、多くのリピート顧客がいます。 」と、Hickey氏は続けます。「ASTECに来て、 我々の能力や装置を完全に理解すると、更なるプロジェクトに関してより多くの種類の試験をしたくなるのです。その方がより効率的であり、自社でこれほど異なる試験の全てを実行するよりも費用が掛かりません。我々は、これまで満たすことができなかったクライアントのニーズをこれから見つけなければいけないのです。」
ASTECは、単にメーカーがより速くデザイ ンを最適化できるように支援するだけでな く、検証や認証も加速します。その全てが、 研究開発を一段と推進させています。MTS のソリューションによりNIARのチームはより速くデータを処理し、試験プロセスを快適なペースで進められるので、こうした加速は試験プログラムのレベルでも起こっています。
「しばしば、複数の OEM セクションチーフが試験中にひずみゲージをモニターしていて、試験が終わるとすぐにデータを見たがることがあります」と Hickey 氏は述べています。「MTS のハードウェアとソフトウェアを使用すると、通常 30 分かかるデータセットを 3 分で提供することができます。これにより、お客様は応力分析の結果をモデルに戻し、試験が成功したことを確認し、次に進むことができます。」
ASTEC がさらに本格的な構造試験を追求していく中で、Hickey 氏は必要に応じて MTS の専門知識に頼ることができると確信しています。
「ASTEC の施設の設計時に MTS と密接に協力し、電力、油圧、電気ドロップなどのニーズを把握しました」と彼は語っています。「ASTEC や NIAR 全体のミッションをサポートするために、MTS チームは迅速で親切な対応をしてくれます。」