お客様の挑戦
Fraunhofer Institute LBF は、ドイツのダルムシュタットに拠点を置き、主に欧州の自動車産業で使用される安全仕様規格部品の構造耐久性やシステム信頼性の評価を専門に行う研究機関です。この研究機関は、ドイツの研究機関であるフラウンホーファー協会に属しており、59 に及ぶ同様の研究機関があり、それぞれが応用科学の異なる分野に集中して研究を行っています。LBFは、自動車メーカーの主要研究機関、受諾研究試験所、開発パートナーとしての役割を果たしています。
これらのメーカーは、すでに世界中の消費者に普及している小型車から、急成長する都市部でますます目立つようになる重量 6 トンの電気バスまで、次世代の電気自動車の開発に全力を注いでいます。これらの車両の中には、バッテリーの重量が 150 kg (330.7 lb) に及ぼものもあり、バッテリーを搭載することで車両に相当な重量が加算されてしまうという設計上の課題があります。
「重いバッテリーを搭載するためには、車体構造の強度と剛性を大幅に向上させる必要がありますが、車両重量は同程度増加しないようにします」と LBF のプロジェクトマネージャーである Erich Lücker 氏は述べています。「これは、自動車業界にとって大きな課題です。車体構造の完全な試験には、特殊な装置と専門知識が必要で、これまでは自動車メーカーの独占領域でした。このサービスを提供している受託研究所はありませんでした。LBF はこの状況を変え、このような新しい車体構造を試験する先駆的なパートナーになりたいと考えていました。」
電気自動車の構造の試験システムは、垂直方向と長手方向に大きな荷重と制動力を正確に適用できることが必要です。MTSは現在、これらの要求を満たす車両全体の試験システムを提供する唯一の試験方法の提供者です。
MTS のソリューション
2009 年 4 月、MTS は、LBF が MTS モデル 329 スピンドルカップル式ロードシミュレータシリーズの一部である MTS モデル 329 6DOF LT システムを試験施設に統合する際の支援を開始しました。このシステムは 2010 年 2 月までに導入、構成され、本格的に稼動しました。
「10ヶ月という短期のタイムフレームで、このような非常に複雑な試験システムを導入することができました」と Lücker 氏は述べています。「とても感動しました。」
モデル 329 の 6DOF LT システムは、OEM ラボ以外で、車両のスピンドルで荷重と動きを 6 自由度に制御できる初めての乗用車および小型トラック用シミュレータです。3 本の横方向のストラットが協調して働き、ステアモーメントおよびキャンバーモーメントの制御に加え、横方向の荷重を制御します。
LBF にとって、このシステムの最も重要な点は、様々なタイプの車両やサイズを試験できる柔軟性です。LBF の技術者は、システムのコーナーを移動し、トラック幅とホイールベースを調整することで、モデル 329 6DOF LT システムを乗用車から大型輸送車まで様々な電気自動車に対応するように構成を設定できます。また、同システムは、縦方向の拘束力も備えているため、ブレーキ操作やイベントを現実的にシミュレートできます。
「合計 27 チャンネルを搭載して車両の動きを制御するシステムが稼働する様子は本当に印象的でした」と Lücker 氏は語ります。「我々にとっては新しいシステムですが、MTS Axle Rig での経験から、すぐにこのシステムは操作しやすいと感じました。」
お客様のメリット
MTS モデル 329 6DOF LT システムを追加することで、LBF は自動車メーカー向けに完全な車体構造試験を提供するドイツで唯一の受託研究所となりました。このような独自のサービスは、LBF の差別化を図る大きな強みとなります。また、電気自動車の試験基準を確立する上で、同研究所がリーダーシップを発揮する際にも役立ちます。
「電気自動車の設計では独特の負荷がかかるため、新しい試験方法への需要が高まることが予想されます」と Lücker 氏は述べています。「我々の機関では、すでにこの変化に対応する準備が整っています。LBF は現在、自動車メーカー以外で車体全体の構造試験ができる唯一の機関となっています。当社により、メーカーにとってもう一つの選択肢が生まれます。すべての試験を自社で行う必要はなくなりました。試験の委託は、製品開発を促進するために重要です。
生産性の向上も MTS モデル 329 6DOF LT システムの大きなメリットです。具体的には、このシステムにより、LBF は 4 週間で車やトラックをラボで試験することができます。通常、メーカーが同様の試験をテストコースで行うには、最大で 8 ヶ月かかります。こうして開発期間を 8 分の 1 にまで短縮することで、メーカーは新しい車両コンセプトをより迅速に評価し、より短期間で市場に投入することができます。
LBF が試験システムを最大限に稼働できるよう、MTS はベルリン近郊からローカルサービスとサポートを提供しています。必要に応じて、技術者が電話での対応やLBFの現場訪問を実施します。
「MTSは非常に有能で迅速に対応してくれました」と Lücker 氏は述べています。「私たちは常に時間に追われていますが、問題が発生した場合には、すぐに必要なサポートと回答を提供してくれ、能力をフルに発揮することができると確信しています。また、MTSのテクニカルサポート担当者は、当社の従業員と親しい関係を築いており、当社の試験システムの構成を熟知しているため、さらに当社の効率性を向上させるサポートをしてくれます。」 Magon 氏は、ラボがこれらの新しいアプリケーションを追求するにあたり、必要なサポートはすべて MTS の専門家に頼ることができると確信しています。「MTSとの経験は非常に良いものでした」と彼は言います。「MTS のエンジニアはそれぞれの専門分野で非常に優秀であり、我々のチームともうまく協力して取り組んでくれています。」