お客様の挑戦
日本の兵庫県に拠点を置く株式会社コベルコ科研は、日本における最大かつ最も評判の高い受託試験施設の 1 つです。1,000 人以上の従業員が、構造試験、材料分析、コンピュータシミュレーションの分野で顧客にサービスを提供しています。
株式会社コベルコ科研は自動車産業で特に高い評価を得てきました。近年の自動車技術の著しい進歩に伴い、自動車の安全性や乗り心地に関する基準が厳しくなってきました。また、低燃費を求める市場の要求に応えるため、軽量な新世代ハイブリッド素材を使用した車両の開発も増えています。これにより、あまり知られていない材料を評価するための新しい試験や技術の開発が求められています。
コベルコのリーダーたちは、自動車メーカーのニーズの変化に対応するために施設内の車両試験能力を大幅に拡張する必要があることを理解しました。
「材料および部品試験のサービスが非常に高く評価されたため、お客様から完全な車両試験も実行したいという要望が多く寄せられていました」と株式会社コベルコ科研の技術本部技監、加藤稔工学博士は語っています。「この能力があれば、お客様は材料や部品の性能評価をより正確に、より早い開発段階で行うことができます。
「このような形で機能を拡張することには興味がありましたが、スコープをここまで大幅に拡大するには、経験豊富で信頼できるテクノロジープロバイダーの支援が必要であることを理解していました」と加藤氏は付け加えます。「これが、MTS との協力関係を選択した理由です」
MTS のソリューション
2008 年 5 月、MTS は株式会社コベルコ科研が MTS モデル 320 タイヤカップル式ロードシミュレータを導入するための支援をしました。これは日本で最初の、契約ラボで利用可能な「4 ポスター」システムです。この試験システムは、強力な MTS RPC Pro® シミュレーションと解析ソフトウェア、および柔軟な MTS FlexTest® コントローラを使用します。
MTS モデル 320 テストシステムは、車両のタイヤを経由して垂直方向の力を加えることで、元の路面のプロファイルとほぼ同じアクチュエータ変位をラボ内で実現することができます。道路負荷データが入手可能になる前、また車両変更がまだ進行している段階で意味のある耐久性試験を実行することができ、製品開発者は必要な設計変更に対して機敏に対応することができます。
株式会社コベルコ科研のマネージャーは、性能と信頼性、そして実物に近い走行状態を繰り返し再現する能力に基づいて、MTS モデル 320 テストシステムを選択しました。また、彼らは大手自動車メーカー数社にも意見を求めましたが、ほぼすべてから MTS 320 ロードシミュレータを推奨されました。
システムの完成および実行後は、ラボでのシミュレーション、試験手順、路面負荷データの取得、従業員のトレーニングなどあらゆる面で、MTS の技術コンサルタントが株式会社コベルコ科研を支援しました。サスペンション部品や 2 輪車を正確に試験するための単軸加振技術を導入するためにも、MTS の助言は不可欠でした。
お客様のメリット
世界の大半の自動車メーカーと同じ MTS 試験装置と解析ソフトウェアを使用しているため、株式会社コベルコ科研は信頼性の高いテスト結果に加え、優れた互換性と汎用性を提供することができるようになりました。MTS モデル 320 の試験システム導入は高い評価を受け、さらに重要なことに、推薦および新しい顧客が生み出されました。
また、株式会社コベルコ科研では、保有する CAE (コンピューター援用エンジニアリング) の専門知識を活用して、試験前に破壊や故障をシミュレーションする技術を開発しています。この技術により MTS モデル 320 の試験システムで実行される試験の速度と優位性が更に高まりました。
完全な車両試験の能力と MTS の支援により、株式会社コベルコ科研は運輸業界の他の分野への展開を目指しています。
「多くの企業は現在テストエンジニアや試験機器のコストを削減しており、近い将来グローバル経済が回復しても、すべての開発をカバーするだけのリソースは得られないと考えています」と加藤氏は語っています。「自社の能力と MTS の技術と支援を組み合わせることで、国内外の両方の市場で顧客にサービスを提供するための優位性を得ることができます」