お客様の挑戦
二輪車は世界の多くの地域で好まれる交通手段となりました。特にヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカの混雑した都市は自動車に適した設計をされていないため、深刻な交通問題が発生しています。
イタリアのポンテデラを拠点とするピアッジオグループは、人気ブランドである Vespa® ブランドを含むスクーター、モペット、モーターサイクルの世界有数のメーカーとして年間 60 万台以上の車両を生産しています。7 つのブランドは、5 つの研究開発センターと 50 カ国の 6,700 人の従業員によって支えられています。
市場での強力なブランド資産価値と製品のリーダーシップにもかかわらず、ピアッジオ社は軽快で低燃費な車両の需要増に対応しようとする他のメーカーとの激しい競争に直面しています。それゆえ、機能豊富な新製品をより頻繁に魅力的な価格で市場に投入するために、開発コストを削減しながらイノベーションを促進する新たな方法を見つける必要があります。
「効率化を向上させるために最初に明確に検討したのは性能試験場でした」と、ピアッジオ社のポンテデーラにある機械研究所を率いる Stefano Borghesi 氏は語っています。「トラックテストはコストがかかり基本的に再現性がないため、プロトタイプの設計に実際に適用できる情報量が限られてしまいます。
「ただし、トラックテストの最大の欠点は、開始から終了までの時間です」と Borghesi 氏は付け加えました。「一般的なトラックテストでは、ドライバーはさまざまな操作環境で何千マイルもの距離を走る必要があり、それには数ヶ月を要します。今日の市場勢力図の中では、設計検証にそこまで時間をかける余裕はもはやありません」
MTS のソリューション
2008 年 11 月、ピアッジオ社は MTS と緊密に協力し、MTS モデル 320 2 ポスト試験システムがポンテデーラの機械研究所施設に統合されました。このシステムは床下に設置された独自の「地震マス」と呼ばれる絶縁器具に取り付けられており、油圧作動の力が実験室の外に向かって散逸して試料から離れてしまうのを防ぐように設計されています。
そのシステムでは 2009 年 4 月に最初の公式試験が行われました。ピアッジオ社はこのような高度なシミュレーション技術を製品開発プロセスに取り入れた、世界で最初のスクーターメーカーの一つです。
MTS RPC® ソフトウェアを活用したこの 2 軸のタイヤカップリング式シミュレータは、車両プロトタイプ全体で路面からの力を正確かつ再現性よく表現し、段差のある路面での試験を含む、性能試験場に近い負荷とモーメントを作り出します。これらは一般のライダーが日常的に遭遇する条件でもあるため、試験の専門家は何年も実際に使用した後の車両の性能を明確に把握しています。
これまでピアッジオ社では、シミュレーションシステムをコンポーネントテストにのみ使用していたため、完全な車両の耐久性や性能を評価するにはトラックテストに大きく依存していました。
「我々は現在、試験ラボとテストトラックの両方で、あらゆるタイプとサイズの車両を評価しており、開発の早い段階で新しいレベルの知見を得ることができています」と Borghesi 氏は述べています。「同様に重要なことに、この試験はテストトラックで必要な時間のほんの一部ので完了することができ、ピアッジオにとって新たな開発コストの削減につながります。」
お客様のメリット
Borghesi 氏によると、MTS モデル 320 2 ポスト試験システムは、ピアッジオ社がより良い製品設計をより短い時間と低コストで市場に投入することを可能にして、新たな競争上の優位性を獲得するのに役立ちました。
「新しいラボのシミュレーション能力により、低排出ガスと高燃費を求めるお客様の要望に応えながら、車両の性能を向上させました」と Borghesi 氏は述べています。「また、この制御された実験室環境の中でプロトタイプを最も厳しい運転条件にさらすことで、車両の疲労寿命が改善され、乗り心地や快適性の面でも大きく進歩しました。」
さらに、ピアッジオ社のテストエンジニアはモデルの結果を検証するために日常的に試験システムを使用しており、計算の妥当性と試験データの整合性についてチームに大きな自信をもたらしています。
「MTS はあらゆるテストソリューションプロバイダーの中で最高の総合的な価値を提供することを証明してくれました」と Borghesi 氏は述べました。「高品質の製品から現場の専門チームに至るまで、MTS は最も重要で明白な道路事例を私たちの研究室で適切にシミュレーションするよう援助しました。私たちは将来にわたって MTS と協力していくことを楽しみにしています。」