お客様の挑戦
Tenneco は、 乗用車、小型トラック、商用車など幅広い車種向けに革新的な乗り心地性能を持つ製品を開発しています。このグローバル企業は、アジア、ヨーロッパ、北米、南米、オーストラリア、南アフリカの自動車メーカーに協力しており、これには、ダイムラー、フォード、GM、フォルクスワーゲンそしてその他の主要ブランドが含まれます 。
他社にない同社の特徴はその柔軟性にあると、Tenneco 社の欧州ライドパフォーマンス部門で試験および計測を担当するテクニカルチームリーダーの Kris Moria 氏は述べています。標準化された製品に集中することを好むサプライヤーもいますが、Tennecoはしばしば、新しいパッシブバルブシステムからサスペンションシステムの特殊な構成部品まで、独自の、あるいは新たなOEMメーカーのニーズに合わせて設計を行います。
「お客様の声に耳を傾けて、何を求めているのかを正確に把握しするようにしています」と Moria 氏は述べています。「私たちは、お客様が市場に投入する新技術に適した方法を開発するために、お客様と共同作業しています。最終的な目標は、ドライバーコンフォートおよび安全フィーリングの向上です。ですから、私たちは柔軟に対応しようとしており、お客様もそれを評価してくれています」
適応しようとする意欲は、特に製品開発と試験に関して、Tenneco の最大の長所の 1 つです。同社は主にパッシブショックアブソーバを製造しています。OEM 購入元がより複雑なダンパーを要求するようになり、さまざまな速度、周波数、ストローク長での試験が必要になりました。そのため、試験では、標準的な測定に加えて流速、圧力、その他の入力を測定します。
「すべてを高解像度かつ高精度で計測することが非常に重要です
」と Moria 氏は述べています。「それは以前よりもはるかに複雑になっています。これらの信号をすべて制御することが重要なのです」
MTS のソリューション
これらの課題やその他の課題を解決するために、Tenneco 社は MTS に目を向けました。具体的には、Tenneco の欧州ライドパフォーマンス部門では、ベルギー、スペイン、ポーランド、 チェコ共和国にある試験施設で、高性能な MTS Roehrig EMA ダンパー試験システムを採用しています。
Tenneco 社はまず、EMA のダンパーシステムを、移動式ライドチューニングトラックに導入しました。これは顧客の試験場に展開される移動式の実験室です。製品開発の際には、路面負荷データに基づいて、新しいショックアブソーバーの試験をトレーラー内で行うことができます。その後、ダンパーの調整を行い、再びプロトタイプ車両に搭載して新たなデータを取得することができます。EMA のダンパーシステムは、小型で、操作に必要なのはコンセントだけなので、この用途には最適です。また、前世代のクランク式ダイナモメーターに比べて、高い柔軟性があります。
「クランクダイナモメータは純粋に機械的なシステムなので、ストローク長を変えることは機械的な作業になります」と Moria 氏は述べています。「そして、1.5 m/s までの速度しか提供していません。EMA のダンパーシステムは、必要に応じて、より長いストロークと最大 2 または 3 m/s の速度を使用できます。このような変更は非常に簡単にできるので、試験効率は高くなり、お客様により多くの柔軟性を提供することができます」
Tenneco は、EMA のダンパーシステムを生産にも使用しています。通常、チームは製品バッチをラインから抜き取り、個々の構成部品が特定の形状が許容範囲内であるだけではなく、 それらが 組み立てられた後に 期待通りの減衰性能を発揮し続けるかどうかを確認します。このような環境では、EMA のダンパーシステムは、大規模な油圧サーボシステムに比べて設置が容易で、運用コストが低いという利点があります。
最近では、Tenneco 社の技術研究所で EMA ダンパーシステムの導入を開始しました。ここで R&D チームは、システムの高い周波数応答(100Hz以上)と運用効率、およびショックアブソーバ開発用に特別に設計された試験ソフトウェアを高く評価しています。
お客様のメリット
2008 年に Tenneco が初めて EMA のダンパーシステムを移動式ライドチューニングトラックに加えて以来、同社はヨーロッパのライドパフォーマンス部門全体で、この試験システムの使用を着実に拡大してきました。その理由は多岐にわたっていますが、第一に挙げられるのが、すべてが電力で作動することです。
EMA のダンパーシステムは、特許取得済みの電磁アクチュエーション技術を採用しています。低質量で鉄を使用しないコアのリニア電気モーターを使用することで、機械式や油圧式のシステムよりも大きな力でより高い速度 を実現しています。また、 温度および油柱の共振や 摩擦を考慮して、 補正する必要はありません。
「すべて電気で作動することは大きな利点です」と、 Moria 氏は述べています。「パワーパックや冷却システムは必要ありません。そして、幅広い周波数および速度に対して性能が非常に優れており、システムを頻繁に調整する必要はありません。だからこそ、私たちは気に入っているのです」
Tenneco にとってのもうひとつのメリットは、電気的に作動するシステムは他のシステムに比べてクリーンで静かで、より早くセットアップができ、メンテナンスや修理が簡単だという事実です。MTS が提供するサービスと サポートにより、完全なソリューションを完成させることができます。
「昨年末に、当社の 5 台の EMA ダンパーシステムに接続されているコンピュータの 交換プログラムをセットアップしました」と、Moria 氏は述べています。「ソフトウェアは MTS によってあらかじめインストールされており、それらを接続するとすぐに使用できました。本当に嬉しかったです」