お客様の挑戦
ドイツのケルンを拠点とする Toyota Motorsport GmbH (TMG) は、2001 年以来、MTS Systems Corporation の高度な試験装置を幅広く活用して、F1車両の開発ニーズをサポートしてきました。30,000 m2 の TMG の施設に使用されている MTS の技術としては、2 つの風洞、2 つのロードシミュレータ(1 つはスピンドルカップル式システム、もう 1 つはタイヤカップル式システムで、7 ポスターシステム)、2 つのロータリーダンパー試験システム、そして特別仕様のトランスミッション試験システムとステアリング試験システムがあります。
この試験施設 1 箇所で、200 種類以上の車両関連試験を行うことができます。
数年間、トヨタの F1 プログラムだけを対象とした専用の試験施設として運営した後、TMG は、自社の試験施設が自動車開発コミュニティ全体にとって非常に大きな潜在的価値を持っていることを認識し始めました。2009 年、TMG は自社の試験機能と固有の技術を外部の顧客に提供することを正式に決定しました。
「この施設は他にはない独特な施設です。多くの先進的なシステムが連携することで、開発サイクル全体を通して優れた試験のスピード、精度、情報の深さを提供します」と、TMG の完成車両および構成部品試験のグループリーダーである Marco Gehlen 氏は語ります。「しかし、受託試験施設として成功するためには、F1 以外の車両開発者やサプライヤーをサポートするために、既存の試験装置の柔軟性を高めなければならないことはわかっていました」
MTS のソリューション
Gehlen 氏と彼のチームは、時間と費用をかけて新しい試験装置を調達する代わりに、ソフトウェアとハードウェアの改造によって TMG の既存の試験システムの汎用性を高めることを目指しました。「MTS は当社の最初の試験施設の設立を成功に導いてくれており、受託試験施設への移行を支援してくれる明白な選択肢であると私たちは知っていました」と Gehlen 氏は語りました。「MTS の技術チームは、すでに当社の技術、施設、そして社員を熟知していたので、私たちは学習を性急に増やすことなく、すぐに生産性を上げることができたのです」
2009 年から 2010 年にかけての冬の間、数週間にわたって TMG と MTS は密接に協力し、施設全体でいくつかの技術的な修正を行いました。重要な修正の 1 つが、独自のトランスミッション試験装置へのステップダウンギアボックス追加で、これによって、ギアボックスの使用環境において発生する負荷、圧力、作動温度を再現することで、試験施設で正確な評価試験することが容易になります。
このステップダウンギアボックスは、高度な試験ソフトウェアと一緒に使用することで、さまざまな回転数およびトルク値を試験装置に適用することができ、それによってほぼあらゆる車種で、現実性のある入力を生成することができます。また、このシステムを MTS Model 329 スピンドルカップル式ロードシミュレータと共に使用すると、サスペンション荷重を組み込むことで、シミュレーションの精度はさらに高められます。
モータースポーツや乗用車の開発者が興味を持つであろうもう一つの TMG の提供物としては、ライブリンク機能があります。これは内製した MTS 7 ポスタータイヤカップル式ロードシミュレータを介して利用することができますこの技術では、2 台の同一の車両プロトタイプを使用して、試験施設とレーストラック間で、安全でリアルタイムなオンライン接続を可能にします。この接続により、試験ラボとテストトラックの間で、文字通りレースの直前まで調整を行うことができます。
「私たちは、バーチャルラボと現実、そしてテストリグを関連付けるための最良の方法を常に追求しており、ライブリンク技術はその完璧な例です」と Gehlen 氏は述べています。「その車両開発者がせまりつつあるレースタイムに対して作業していても、市場投入期限に対して作業していても、ライブリンクはあらゆる種類の車両開発者にとって時間とコストの節約になることは明らかです。」
お客様のメリット
TMG は、受託試験施設として運用された初年度に、多忙な生産スケジュールを維持しました。これまでに、モータースポーツチーム、自動車開発メーカー、部品メーカーなど、数十の顧客が試験施設を予約しており、その中には自動車関連の試験以外のニーズを持つ 2、3 の顧客もいます。「当社のお客様は、当社の施設とスタッフのサポートにより、迅速かつ正確に試験を完了することができることを大変喜んでおられます」と Gehlen 氏は語りました。「私たちが提供するサービスの柔軟性とワンストップの利便性が特に高く評価されています」
TMG の施設で、自動車開発者は、早急なプロトタイピング、完備された機械加工用刃物、フルスケールおよびパーシャルスケールの路面走行機能、そしてドライブライン、ステアリング、および部品の高度な試験を利用することができます。これらの機能はすべて統合されており、優れた試験データを作成し、より良い設計をより早く、より低コストで市場に投入することができます。
Gehlen 氏によると、TMG が OEM の試験施設から受託試験施設へとスムーズに移行するためには、MTS が不可欠であったそうです。「2 人の MTS のエンジニアが、F1 プログラムの初期段階から TMG に常駐しており、それ以来の彼らの当社への貢献は大変大きなものがあります。MTS は例外なく、我々の目的を深く理解し、その目的を達成するための最適な方法を見出す能力を発揮してくれました。
「TMG には現在、適切な技術、適切な専門技能、そして適切な試験ソリューションのパートナーがあります。そして、それらは当社を世界で最も先進的な自動車開発の受託試験施設の一つとしてくれています」と Gehlen 氏は述べています。「今や単純に知らしめるだけの問題なのです。なぜなら当社には、さまざまな自動車開発者にとってのかけがえのない価値があるからです」