お客様の挑戦
整形外科用機器の開発者は激しい競争にさらされており、市場への迅速な参入が必要不可欠になっています。開発者は、製品開発プロセスを加速して新しい素材や設計を早く確実に理解するための新しい方法を常に模索しています。
K4Sint は、この研究分野において大きな影響力を持つ小さな会社です。イタリアのトレント郊外にあるこの民間の研究開発会社は、粉末冶金の技術を応用して、通常では入手できない埋め込み型整形外科機器用の新素材を製造することを専門としています。
K4Sint 社の創設者のひとりで、材料科学と粉末冶金の専門家である Mario Zadra 博士は「私たちの顧客は、高性能整形外科用機器メーカーです。通常、メーカーはデバイスの性能を向上させる必要がありますが、同時にコストをできる限り抑えたいと考えています。私たちは、最適なソリューションを見つけるために、様々な材料を組み合わせて新しいパーツを作っています」
K4Sint の開発者と同様、Zadra 博士のチームも新しいパーツを早急に作らなければならないというプレッシャーに常にさらされています。これを実現するために、K4Sint では、機械的合金化および放電プラズマ焼結の特許を有するシーケンスを使用しています。焼結は、粉末状の材料から物をつくる方法であり、K4Sint の研究者は直接合金よりもずっと速く新しい組成物を形成できます。それぞれの新合金の準備が整うと、次のステップとして、同等の効率で機械試験を実施します。
MTS のソリューション
大腿骨頭や寛骨臼カップから関節丘および金属スポンジまで、整形外科用インプラント機器のすべてのパーツは、開発者が期待する性能を達成しなければなりません。ハイエンド装置のメーカーは、理想的な強度と信頼性を提供し、さらに材料や製造コストを下げる新合金に特に関心を寄せています。
「合金といっても、使用できる元素はチタンやジルコニウムなど限られています」と Zadra 博士は言います。「それらを混ぜ適正な機械的特性を示す配合を得ますが、最も重要なのは硬度です。私たちは、20 ミリメートルのディスクを生産し、MTS 試験システムの三点曲げ治具を用いて試験用の小さなサンプルを得るためにカットします。試験データを素早く入手し、材料を微調整し、三点曲げ試験をやり直して、組成が適切になったことを知ることができます」
Zadra 博士のチームは、K4Sint の研究室で MTS Criterion® シリーズ 40 電気機械式万能試験機とMTS TestSuite™TW ソフトウェア、MTS のウェッジグリップと圧迫プレート、そして K4Sint チームがカスタム設計したユニークな三点曲げツールを使用しています。MTS Criterion システムにより、実験室では新しい合金の硬度だけでなく、降伏強度、最大引張強度、延性も評価できます。
お客様のメリット
MTS Criterion システムを実験室に設置することで、K4Sint 社は厳密に効率的な試験プログラムの維持、毎週 10 ~ 15 回の三点曲げ試験、更なる評価に値することが証明された材料の引張試験を毎週実施できます。
「MTS試験装置を導入する前は、試験はすべてトレント大学で実施していました」と Zadra 博士は語ります。「今では、試験はずっと速く、便利になりました。そして、試験の速度は私たちのビジネスの成功に直結しています」
また、Zadra 博士は、K4Sint の実験室で 1 年以上稼動している MTS Criterion システムの性能を高く評価しています。このシステムは確実に動作し、特に簡単にメンテナンスできるように設計されています。
「私たちが最初に MTS を選んだ理由は、試験の多様性を活かし稼働率を最大化することで、試験目的を達成できるシステムを必要としていたからです」と、Zadra 博士は述べています。「MTS ブランドでは、この両方を実現できました。私たちは MTS とは非常に良い関係にあります」