お客様の挑戦
積層造形工程で作られた製品や構成部品は、複雑な 形状を持ち、壁の厚さが変化したり、薄い部分があったりすることが多く、試験が困難です。これらの製品や部品に使用されている材料の標準サイズのサンプルを複数作成 しようとすると、 時間とコストがかかります。また、 製造時の熱履歴が異なる可能性があるため、問題となることがあります。これは、 コンマ 1 ミリの範囲の薄い壁が、より大きなサイズの サンプルの特性とは異なるというサイズ効果です。材料の実際の機械的特性を評価するためには、サンプルが 代表的なものでなければなりません。つまり、実際の部品から抽出するか、同じ場所で同じ方向に、同じサイズの範囲で 作られたものでなければならないのです。これらの の理由により、小形試料サンプル試験は の材料特性をより正確に表現することができます。
チェコ共和国の民間研究機関である COMTES FHT は、15年以上にわたって小型 試料の試験技術を改良してきました。COMTES FHT の研究開発部長 Ing. Jan Džugan 氏 は 2006 年に機械試験ラボを設立し、小型サイズ試験方法は同施設の最初の長期研究プロジェクトとなりました。現在、 Džugan 氏は、 ASTM E28 の一軸試験と、 ASTM F42 の積層造形規格に小型試料の要件を導入する取り組みを主導しています。彼が指導した博士論文や多くの科学論文は、 小型試料試験に焦点を当てています。
「小型試料についてさらに語る前に、それが何を意味するのか を明確にしておいた方がいいでしょう」と、Džugan 氏は述べています。「各試験の標準サイズの試料は異なるので、 小型の試料の体積は約100倍になると言えます。小型 試験の分野では、基本的に、小型化された試験片を用いた直接法試験と、特定の相関関係によって標準試験に紐づけられたいくらかの量を測定する 間接法の 2 つの試験方法があります。 C私たち OMTES FHT では、最初の試験方法のに興味を持っています。」
COMTES FHT が小型試料試験法の分野で最初に行った研究は、Džugan 氏が以前に経験した 小型パンチ試験 (SPT) に焦点を当てたものでした。「しかし、 しばらくしてから、同量の材料 に対して引張試験を実行することができるのに、なぜ SPT を行う必要があるのかと考えました」と Džugan 氏は報告しています。「これが功を奏して、 、異なる負荷モードや歪み率の試料間の相関関係よりも、むしろ 標準試料の小型化に頼った試験方法を開発しました。 何年もの間、私たちのチームは以下の研究者で構成されています。Pavel Konopík 博士、Eva Chvostová 博士、Radek Procházka 博士、Martin Rund 氏およびJindrich Vokac 氏は、 引張特性の決定、衝撃に基づく転移温度の決定、 破壊靱性、疲労亀裂進展率試験、低・高サイクル疲労試験および クリープ試験に用いる試験方法を開発または採用しました。これらの試験のほとんどは、非環境下の試験条件でも実行できるようになりました。
当初は電力業界で残留寿命を評価するために開発された小形試料試験技術でしたが、小形試料に基づく技術は、積層造形材料試験に特に適していることが明らかになりました。
試験要件
積層造形の小型試料試験には、いくつかの要件を必要とする特有の課題があります。
負荷フレーム:小型試料試験では、標準的な歪み速度で低速が要求されるため、非常に遅いアクチュエータ速度での安定性が重要になります。
歪み測定:機械式のクリップオンゲージでは、通常、グリップの間に収まらないため、光学式の歪み測定が好適です。COMTES FHT では、2D と 3D 両方の DIC ソリューションを使用しています。Džugan 氏は、「小さな平面状物体で、かなり小さな歪みの場合は、2D DIC がうまく機能し、それほどコンピュータのパワーが高くなくても構いません」と語ります。
アラインメント:現在の ASTM E1012 規格は、小型引張サンプルのアラインメントには完全には適用できません。現在、COMTES FHT では、DIC システムを使用して、つかみや負荷装填中に試料の位置合わせを確認・調整していますが、小型サンプルのアラインメントの代表的なパラメータを特定するためには、さらなるプロセス開発が必要になると考えています。
つかみ:「現在、小型サンプル引張試験用のグリップは市販されていないので、自分たちで開発しなければなりませんでした」と Džugan 氏は説明します。「試料の可塑化が起こる可能性があるため、適切に使うことが重要ポイントであり、これは特別な注意を払って行わなければなりません。」
MTS のソリューション
COMTES FHT は、2006 年から MTS のソリューションをラボで使用しています。同社の最初の MTS 装置は、金属成形プロセスのサーモメカニカルシミュレーション用に設計されたカスタムシステムでした。2 台目の MTS システムは、軸/ねじりのメインアクチュエーターとサイドアクチュエーターを備えた特別なハイレート Bionix® システムでした。このシステムは、その汎用性、正確性、性能から、小型サンプル検査法の開発の多くに使用されました。Džugan 氏は、「このシステムでは、準静的試験と動的引張試験を行いました(システムのアクチュエータ速度は 1m/s 以上)。また、誘導加熱装置を使った初の引張試験や、常温・高温での低・高サイクル疲労試験も行いました。このシステムを使って、小型サンプルでも破壊靱性試験を行いました。ほとんどの開発が終わった後、これらの試験のために専用装置を調達しました。」
お客様のメリット
積層造形材料の小型試料を試験する利点は明白です。小型サンプルを使うことで、正確な局所特性評価がしやすくなります。小型試料であれば、必要な材料や蒸着時間が少なくて済むため、コスト削減につながります。また、小形試料法は、実験材料が不足している場合にも最適です。
今日、COMTES FHT は、積層造形材料の小型試料使用のリーダーであり、試験の目標を達成するために MTS 試験システムを喜んで使用しています。Džugan 氏は、「私はヨーロッパやアジアで 25 年以上 MTS と仕事をしてきましたが、非常にポジティブな経験をしてきました。それが、開発の分野で MTS とより密接な関係を築こうとした理由です。現在の現地担当者や、ベルリンやミネアポリスの MTS 担当者とは、すでに非常に良い関係を築いています。MTS のサポートと試験装置の安定性と信頼性を高く評価しており、今後も協力していきたいと思っています。」