お客様の挑戦
1980 年にイタリアのベローナに開設されたオーソフィックス・インターナショナル社は、脊椎、整形外科、外傷市場向けの医療用インプラントデバイスのトップメーカーです。同社では、製品開発を目的としたさまざまな機械試験やシミュレーションを行っているほか、規制当局への申請や市場への製品投入に先立ち、デバイスの性能を検証しています。
製品開発の活発化により、イタリアのオーソフィックス社の試験施設に設置された MTS Bionix® 25kN 軸方向/ねじり方向ロードフレームのスケジュールは過密でした。最近の取り組みとしては、ダメージコントロール整形外科(DCO)治療用の新しい革新的な外付け固定具用の高性能スクリューを開発しました。この研究では、開発中の一般的なオーソフィックス社製品よりもサイズが小さく壊れやすい試料片を用いて、低荷重(50N ~ 500N)の静的・動的試験を実施する必要があります。
イタリアのオーソフィックス社研究開発部門の製品開発エンジニアである Denis Lorenzini は次のように語っています。「私たちは何年も前から静的・動的試験のすべてでBionix社のシステムを使用していましたが、需要はこの試験システムのスケジュールでサポートできる範囲を常に超えていました。製品開発業務の増加に対応するために、2 台目の試験システムが必要であることは明らかでした」
試験実験室のスペースが限られていて、資本支出を最大限に活用したいと考えていたイタリアのオーソフィックス社は、次の試験システムはコンパクトなサイズを選び、できるだけコストを抑えて購入・所有したいと考えていました。また、この新しいシステムは、Bionix システム用に開発された独自のスクリュー回転シミュレーターとの互換性も必要でした。
MTS のソリューション
オーソフィックス社の研究開発チームは、MTS の専門知識を活用して、低荷重試験要件に最適な 2 台目のロードフレームの調達を検討しました。Lorenzini は、「最初の Bionix システムで大きな成功を収めていたので、まず MTS Mini Bionix システムの注文を考えました」と言いました。「しかし、MTS が新しい電気機械式ロードフレームを見せてくれたとき、私たちは理想的なソリューションを見つけたと思ったのです。すぐに 1.25 kN の MTS Acumen システムを注文しました」
汎用性の高いコンパクトな MTS Acumen™ 試験システムは電動式アクチュエータを採用していて、既存のオペレーションへの影響を最小限に抑えながら、簡単かつエネルギー効率の高い方法で社内の試験能力を拡張できます。ロードフレームは、他の技術に比べてはるかに少ないエネルギーしか消費しません。油圧ポンプなどの設備が不要で、通常のコンセントに差し込むだけで電力が供給されます。
「MTS Acumenシステムは、非常にクリーンで静かであり、使いやすくメンテナンスが簡単です」と、イタリアのオーソフィックス社研究開発部門の試験エンジニアである Graziano Marini は語っています。「小型のロードセルと専用のグリップは、当社のスクリュー設計の試験に理想的です。また、試料片の取り付けを大幅に簡素化する T 溝付きテーブルには特に感心しました。このシステムは非常にコンパクトで、試験ステーション全体の床面積はわずか 1 平方メートルしかありません。
MTS Acumen システムの他に、オーソフィックス社は、新しい MTS コントローラをアップグレードするために、追加のボードを購入しました。この追加ボードは、新しいスクリュー設計の試験に不可欠な、同社独自のスクリュー回転シミュレーションの制御機能を提供します。チームは、アップグレードした新しいコントローラとソフトウェアによって、Bionixと MTS Acumen の両方のロードフレームをひとつの体験で使用できるようになったことを喜んでいます。
お客様のメリット
現在、イタリアのオーソフィックス社は MTS Acumen システムを使用して、様々な製品の静的ライフサイクル試験や軸方向の引張圧縮疲労評価を行っています。もともと Bionix システムで行われていた試験を、この新しいロードフレームを使って簡単に再現できます。その一つが、合成骨素材にネジを挿入し、様々な捻り速度と軸方向の荷重をかけて行う試験です。挿入と引き抜きのトルク値は内蔵のトルク計で記録され、スクリューの切削性、安定性、全体的な性能特性など貴重な情報を知ることができます。
Lorenzini は「今では、以前より大量で多様な試験を引き受け、開発試験業務のスケジュールを効率的に進めることができるようになりました」と語っています。「MTS Acumen システムのおかげで Bionix システムが高荷重の試験に対応でき、市場に新技術を投入するまでの期間を短縮できました。また、MTS Acumen システムは稼働に必要な電力やメンテナンスにかかる時間が非常に少ないため、エネルギーや運用コストへの影響は最小限に抑えられています」
研究開発チームは、イタリアのオーソフィックス社の試験施設で機能強化や技術のアップグレードを行う際には、再び MTS と提携する予定です。
「MTS は、社内の製品開発チームと外部の外科医コミュニティ両方からの要件の変化対応する上で尽力してくれています」と Lorenzini は語っています。「MTS とのオープンな意見交換は、今後試験能力を拡大していく上でとても大切です」