このQ&Aでは、電気力学的的作動に関する生物医学業界のお客様の経験を変化させたMTS Acumenの論証について、当社のエンジニアが説明します。
Q:MTS Acumenシステムを実証した経験を基に、試験機関で電気力学的作動を使用することの魅力と課題は何ですか?
A: 電気力学技術が選ばれる理由のひとつに、消費電力が少ない点が挙げられます。また、これらのコンパクトなシステムは従来のコンセントがあればどのような場所でもすばやく容易に設置できる上、メンテナンスも最小限で済みます。
これらの利点は、電気力学システムが持つ全体的な制御、制限への応答、自動チューニングに関する一部の課題によって影を薄めてしまう可能性があります。これらの問題 を経験したことで自身の持つ電気力学的試験システムの使用をやめるまでに至ったバイオメディカル材料メーカーの技術者からアプローチを受けた際に、MTS Acumen 試験システムがこれらの一般的なユーザーの問題をいかに解決できるかを示すことで、彼らの電気力学的作動への興味を再び呼び起こすことができたのです。
Q:電気力学的作動では全体的な制御が難しいとされる理由は?
A: 試験片の剛性は動的試験の過程で変化する可能性があり、ほとんどのシステムで性能上の課題となっています。安定性のために、試験片は高剛性領域でチューニングする必要がありますが、試験中に試験片が低剛性領域に達すると、そのチューニングは概して低性能になります。 この問題は、バイオメディカル分野のお客様の大きな関心事の一つでした。
MTS Acumenシステムの全範囲における性能を、圧縮すると剛性が大きく変化するテニスボールの試験で実証しました。テニスボールの硬度が高い領域でチューニングを行い、硬い領域と軟らかい領域を通過する繰り返し圧縮試験を行いました。MTS Acumenシステムの高度なチューニングと制御技術により、剛性範囲全体にわたって優れた性能と安定性を実現しました。
Q:制限に対する試験システムの応答は、ユーザー体験にどのような影響を与えますか?
A: 電気力学的的作動は、非常に高性能かつ高速に動作する反面、この性能と速度によって試験片や固定具を意図せずに破損してしまう可能性があります。生物医学的試験では、試験片の複雑な構造と形状により、従来の制限では試験片の保護に不十分です。結果として、供給量が限られる高価な独自性の高い試験片が破損や破壊されてしまう可能性があります。 試験片と試験条件の課題が試験片の保護である場合、MTS Acumenは最適です。
MTS Acumenシステムの持つ優れた制限応答と故障検出を実証するため、MTSが開発した高度なインターロック方式を活用してシステムを強制的に不安定な状態にし、制御停止を促しました。不安定性が検出された瞬間、システムはその時点の位置にロックされ、制御された状態を維持し、フリーホイールもなく、本質的には試験片にそれ以上の負荷を加えることはなくなりました。機械は制御された状態を維持し、装置と試験片の両方に危害が及ぶことはありませんでした。
Q:電気力学システムに良く見られる自動チューニングの欠点について説明します。MTS Acumenシステムは他とどう違うのですか?
A: お客様から、「経験上、他の電気力学システムの自動チューニングでは、柔軟性や洗練性に欠け、試験片に少しばらつきがあると確実なチューニングや試験にすることはできない」というご意見をいただいています。
一方、MTS Acumenシステムで使用されるMTS TestSuite™ソフトウェアは、自動チューニングのために複数の試験片とシステムの特性を測定するように設計されているため、より適切なチューニング値を得ることができます。自動チューニングプロセスに試験片固有の測定値をセットアッププロセスの一部としてどのように組み込むか、特定の試験の制度精度を向上させカスタマイズを容易にする方法についてお客様に示しました。MTSの自動チューニングを使用した場合、ソフトウェアは直感的な青、緑、赤の目盛りでチューニングの精度を画面上に表示します。必要に応じてドラッグ&ドロップで簡単に調整できます。どんなに複雑な試験片でも、MTS Acumenシステムは完全なチューニングと調整制御を可能にするため、他のいくつかの電気力学システムでは試験できない試験片をチューニングすることができます。
Q. MTSがこのような問題を対処することに成功した理由は?
A: MTS Acumenシステムの並外れた性能は、お客様のニーズを満たすことに重点を置いた先進的な製品開発プロセスの結果であると確信しています。開発時には、類似のシステムでユーザーが現場でどのような経験をしているかを慎重に評価し、エンジニアは主要な問題に対処するために必要な時間とリソースを捧げ、常にシステムの統合的な性能を目標に掲げ続けました。
MTS Acumenシステムは、MTSの比類のない制御およびサーボ油圧、さらには電気機械作動の技術的リーダーシップの産物とも言えます。この豊富な経験を生かし、ハードウェアとソフトウェアのソリューションに完全に統合された高度な制御技術の開発に成功したのです。これらの制御技術は、この電気力学システム設計の性能と精度を次のレベルに引き上げます。
Q. 他の材料試験機関のエンジニアにとって参考となるものは何ですか?
A: 現在では、過去に懸念されたような欠点が解決され、電気力学的作動のすべての利点を活用することができるようになりました。MTS Acumenシステムでは、制御、制限への応答、自動チューニング、オーバーヒートなどの問題に効果的に対処し、克服することができました。
さらに、多くのお客様から、MTS Acumenシステムの高い性能のおかげで、新しい試験片の挙動が発見できたとの報告をいただいています。