MTS のアプリケーションエンジニアが、低荷重試験アプリケーションにおける電気作動の利点について説明します。
Q:電気作動を試験に使用する際の課題は何ですか?
A: 電気作動の最大の課題は制御です。電気作動は新しい技術ではありませんが、材料試験で要求される精密な力や動きに対応できるようになるまでには時間がかかりました。 精密な制御は、コントローラとソフトウェアの機能によって達成されます。これらのコンポーネントが優れていればいるほど、パラメーターをコントロールすることができ、より良いデータを得ることができるでしょう。
Q:電気作動に最も適した材料試験アプリケーションはどれですか?
A: 電気的に作動する試験システムは、特にバイオメディカル材料、マイクロエレクトロニクス、小規模な試験片の試験に適しています。これらのシステムは、これらのアプリケーションがまさに必要としている、低荷重、高周波数での高忠実度テストに最適化されています。
Q:電気作動には、油圧サーボ式アクチュエーションと比べてどのようなメリットがありますか?
A: 最も重要なメリットの 1 つは、オイルがないことです。廃棄やリサイクルする必要のあるオイルもありません。例えばバイオメディカル試験では、オイル漏れによって試験片や生理食塩水の槽、ウシ由来溶液などが汚染される可能性があります。つまり、このような問題を完全に回避することができます。また、電気作動は非常に静かで清潔です。MTS Acumen® 試験システムでは、ホース、ハードライン、油圧ポンプはなく、ケーブルはすべて負荷フレーム内に組み込まれています。試験ラボは、整然とした環境を好む傾向がある外科医を訪問する際の目玉となることが多いため、このような審美的な側面は重要です。
マイクロエレクトロニクスの場合、ほとんどの試験はクリーンルームで行われます。そのため、よりシンプルなプラグアンドプレイの電動式試験システムは、セットアップやメンテナンスが容易であるだけでなく、 オイルミストや残留物などの潜在的な汚染物質を排除することができます。これらのシステムにより、冷凍機などの特別な設備インフラや、オイルのメンテナンスや廃棄のためのソリューションのコストと手間が省けます。
Q:他にも Acumen 試験システムが制御を改善する方法はありますか?
A:はい、これらのシステムは 100Hz までの周波数を簡単に扱うことができます。試験システムの制御装置は、当社の油圧サーボ試験システムで使用している制御装置と同じであるため、MTS 試験システムをお使いの方には馴染み深いものとなっています。同じ PID 制御方式を使用しているため、これまでに開発された、実績のある材料試験の制御アルゴリズムがすべて利用できます。電気作動との大きな違いは、サーボバルブ、マニホールド、ポンプのサイジングなど、流量に応じた微妙な差異が問題にならないことです。油圧機械的な調整を考慮しなくても、電流を制御するだけで電気的に作動するシステムの機能を最大限に発揮することができます。
Q:オートチューンニングはプロセスにどのような影響を与えますか?
A: オートチューニングは、試験結果の精度を高めるもう一つの方法です。信頼性の高い疲労データを生成するには、材料試験や生物医学的試験で一貫してピークとバレーに達する必要があります。Acumen 試験システムのオートチューニング機能には、質量、剛性、ダンピングの 3 つのパラメータが含まれ、可能な限り最善の制御と最も正確な試験片の応答を実現します。MTS が特許を持つこのオートチューニング手法は、3 つのパラメータすべてについてロードトレイン全体を検査します。実際のところ、試験エンジニアはシステムを適切に調整するために、試験片の剛性を知る必要はありません。また、デフォルトのホームステートとして安定した変位制御を組み合わせれば、中断した後でも迅速に回復して試験を再開することができます。もちろん、必要に応じていつでも手動で調整することもできます。
Q:これらの機能が実際のアプリケーションでどのように機能するのか、例を挙げてください。
A: ポリマー、エラストマー、生体組織のように、設計によって剛性が変化する、あるいは本質的に粘弾性のある試験片の場合は、正確な制御が重要になります。内部にハードストップバンパーで保護されたゴム製ブラダーを持つ歯科用インプラントの試験を検討します。最初に圧縮されたとき、試験片は柔らかく、柔軟です。次に、バンパーを叩くと、とても硬くなります。剛性が試験中に大きく変化するため、ブラダーが正しく製造されているかどうかを評価することは困難です。正確な制御を行うことで、実際の性能を再現した試験プロファイルを作成することができ、より現実的な試験データを作成することができます。
精密な制御が必要とされるもう一つの例は、動的特性評価(DMA)アプリケーションにおいて、100Hz までの周波数スイープや極度の低温から高温までの温度スイープを実行する場合です。この種の試験では、試験片の剛性が 1~2 桁変化するため、良好なデータを得るためには精度が要求されます。